二人の男が左側から近付いてくる。
そのうち一人は、最も早く少女に気付き、声を出した男だ。
彼は剣を手に、嬉しそうな顔をしている。
まるで罠にかかった獲物を見つめる狩人のように、その笑顔は死を語っている。
右後ろの男は少女の視界にはいなかったが、
先程の男の声を聞いて走ってきたのだ。
——賊と彼女の距離はたったの五歩。
少女は包みを開き、逆手で古剣『軒轅』を握る。
剣が手にある感覚は、彼女を安心させる。
その後の出来事は、
きっとこういう展開になる筈だ。
少女は飛び立つ鳥のように軽い動作で飛び上がる。
着地した瞬間、剣の切っ先はすでに男の胸元に刺さっていた。
剣を戻し、振り返る——噴き出す血より、ずっと速い。
次の瞬間すぐさま剣で刺し、男の凶悪そうな笑顔を固まらせる。
こうして、四人の敵は二人だけになる——なんの抵抗もなく。
彼女の武術の造詣と、古剣軒轅があれば——
その幻想を現実にすることは、難しいことではない。
——賊と彼女の距離はあと四歩。
目の前の四人は、宝剣を拝む価値すらないのだ。
この剣は遠い昔、仙人たちの時代から受け継がれ、幾千万年の時を見届けてきた。
その持ち主は武術界の伝説、唯一の真仙、神州の守護者『精衛真人』である。
精衛真人が天に昇って仙人になった後、秦素衣はしばらく隠居したが、3年後に彼女は再び武術界に名を馳せた。
彼女と『川公子』李紳の恋物語は当時、美談として語られていた。
10年前、引退した母親は『墨染香』を幼い素裳に渡し、[\s]
同時に素裳の肩には、「太虚五蘊を悟り、『天下一』になる」という母親の期待がかかり始めた。
目の前にいる平凡な人間たちの血で、この剣の威名を汚すわけにはいけない。
——賊と彼女の距離はあと三歩。
——あと二歩。