一歩!
彼は本能的に下を見る。
その瞬間、足が痛み出した。
男は地面を見ようとしたが、なぜか目に映ったのは太陽だった。
(どういう……)
彼はまだ自分が蹴飛ばされたことに気付いておらず、何か冷たいものがこめかみに触れたと感じただけだった。
——太陽は暗闇に呑み込まれた。
体を屈めて攻撃を回避し、その勢いのまま男を蹴り、そして指一つで彼を気絶させる——少女はあっという間にそれをこなしてみせた。
彼女の精神は今までにないほど集中している。[\s]
目の前の敵を倒す以外、少女は何も考えていない。
それこそが、太虚剣気五蘊の「心蘊」。
入門の一蘊でありながら、最も難しい一蘊でもある。
『剣心 - 止水』!
しかし、金砂会の古参たちは少しも気にしていない。
なぜなら少女は彼らにとって、既に死人に見えていたからだ。
砂埃を利用し敵の視線を遮ることで、時間の優勢を手に入れる。
環境を最大限利用できれば、勝利の可能性を最大限に引き上げられる。
それが少女の考えだ。
しかし、それも敵たちに読まれている。
広い砂漠で何年も生きてきた盗賊たちは、そういう戦い方をとっくに身につけていたからだ。
少女よりも、彼らのほうが詳しいとも言える。
少女が砂を蹴り上げることは別に変わったことではない。過去に対峙した敵もそうしたからだ。
しかしそれで慌てると思ったら、それこそ金砂会を甘く見過ぎている。
——漠北強盗団「金砂会」はここ6年間、神州とインユウの辺境で活躍している組織だ。
彼らのすることはまさに流賊——諸国の隊商を相手に貴重な品物を奪い、男と老人を殺し、女と子供を奴隷に売る。
しかし普通の流賊と比べ、金砂会は規律を重んじる。
話によると、金砂会の首領「鷹」はもともと軍隊出身だった。[\s]
冤罪に遭い、左遷され、一族はその影響を受けた。
構成員が「鷹」を恐れているのは、彼が悪辣非道だからだ。[\s]
構成員が「鷹」を敬服しているのは、彼が常に無敗だからだ。
この男の出現は、金砂会に激しい変化をもたらした。[\s]
かつての流賊は規律を守る小さな勢力になり、漠北一帯の支配者となった。
構成員たちは朝晩、武術の稽古をしなければならない。[\s]
稽古が終わった後は、軍隊のような訓練が始まる。
「鷹」は飽きもせず、彼らに陣形、変化、団結、それから様々な合図や命令を教えた。[\s]
彼が欲していたのはまとまりのない盗賊団ではなく、軍隊そのものであった。